2009年8月2日日曜日

アウトプットすることの意義を再確認する

Pen & paper

仕事に追われてすっかりペースダウンしている本ブログですが、今日は、アカデミック系(大学・研究系)の話をネタにして、アウトプットすることの意義を再確認しようと思います。なお、研究分野によっては、研究の捉え方がちがいますので、その点はご注意ください。

ラ イフハック系の集まりとか書籍では、よくアウトプットが大切って言われてます。こういう話は、アカデミックな世界でも同じで、僕は学生時代から、「パブ リッシュしろ(論文をかけ)」と、耳にタコができるほどよく指導教員に言われてました。アカデミックの世界では、パブリッシュするというのは、「論文」と 「学会等の口頭発表(予稿)」の2つの手段がメインになります。論文というのは、研究業績として確実にカウントできる成果物です。成果はもちろんのこと、 きちんとした文章でないと採録されません。一方、口頭発表予稿は、一般には誰でも書けて発表できるので、通常は業績としてカウントされません。業績的に口 頭発表の予稿はあまり価値がないわけで、こういった背景から、口頭発表に時間を割く暇があったら論文を、、、という意識が自分の中にありますし、そう思っ ている人も少なくないと思います。でも本当に価値がないのでしょうか?

自己ブランド化につながる
「あなたは誰ですか?何してるん ですか?」学会等で初めての人に出会ったとき、こういう事を聞かれます(もちろん言い方は違いますけどね)。あと、「おち先生、最近はなになってるんです か?」とか、、、また、研究の話で自分と同じこと(似たようなこと)をやってる人にも出会ったりします。こういう時、「実は、私は~の研究をしてまし て、、、」って言えばいいんで すが、発表(パブリッシュ)してないとそれがいいずらい。どこかで発表してれば、たとえ口頭発表でも「~の研究してます。○○学会でも発表してますんで、 興味があれば、、、」みたいに言えるんですがね。やはり、パブリッシュしたものがないと、その言葉に説得力がないなーって思ってます。実際、第三者からす れば、「(未発表だけど)実は~をやっている」なんてフレーズは全く価値がない。例えば、ある研究分野に長けている人を紹介する際でも、パブリッシュした ものがその人を紹介する根拠になります。極端に言えば、「発表=パブリッシュしてないというのは、やってないと同義だ」といってもいいでしょう。
特 に今の職場に移ってからは、これをかなり意識し始めました。というのも、今は以前の職場にいたときと全く違う研究テーマに取り組んでいるわけですが、対外 的になかなか以前の研究テーマのイメージを払しょくできませんでした。これはなんか気持ちのいいものではないですね(別に以前のテーマが嫌いというのでは なく)。なんというか、何か今の自分を正当に見てもらえてないというか、、、、まあそれは、僕がそのテーマについてパブリッシュできてなかったわけですから、当たり前のことなんですけどね。
別に論文じゃなくてもいい。なんでもいいから発表しておかないと、「研究者として、あなた何者?」と言われた時の、自分のイメージと周りの自分に対するイ メージにギャップが生まれる状況になってしまいます。そんなわけで、僕は極力どこかで発表しておくようにして、最近ようやく過去の自分を抜け出してきたか なというような気がしてます。

屑も積もれば宝となる
数年前まで同じ大学にいる某著名な先生と共同研究する機会がありました。その 先生は世界でオンリーワンかつナンバーワンの技術を持っている人なんですが、いろいろ学ぶ点が多かったです。その先生の言ってたことで印象に残っているの は、「屑論文でいいから書いとけ。チラシの裏紙に書いたメモ書き程度でもいい。まさにペーパーだよ(論文という意味でも普段使われる)。でもそれが積み重 なって、大きい成果が出てくるんだから、、、」という話。目から鱗でしたね(僕自身には)。ライフハック系の話で、「大きいタスクは小さいタスクにわけて 処理せよ」というのがありますが、それと似ているかもしれません。
ただ、この話は実は簡単なようで難しい要因があります。「大きな成果は屑が積み 重なって生み出される」、、、それはわかります。しかし、ただやみくもに屑を書いていけばいいのではありません。ゴール(大きな成果)につながる屑でなけ ればなりません。これを「研究」でやれというのは、凡人の僕にはちょっと難易度が高いですね。

書くことで見えてくる
最近はどこの 大学でも外部資金獲得が重要視されています。それは個人レベルのものもあれば、組織的にやらなければならないレベルのものもあります。後者について、私の いる組織でも、当然重要要件となっていますが、上部の人がとても印象的な話をされたことがあります。普通、外部資金獲得という目的があれば、「いかに獲得 するか、、」という点に目を奪われがちですが、その方は違いました。「予算獲得できるかどうか、それは正直難しいのが現状でしょう。しかし、その可能性は ともかく、まずは申請しましょう。申請書類を書いていくことで、我々がやっていること、取り組んでいることを見つめなおすことができ、長所・短所が見えて きます。そしてそれが将来へとつながるわけですから、、、」うるおぼえですが、こんな感じの意図をはなしてました。
僕自身は、ダメだとわかってい るものはなかなか書けないタイプです。書いても無駄、時間がもったないと思ってしまいます。でも、確かに何もしなければ現状認識はできませんから、次にす すめません。申請書のような書類書きは、個人的には非クリエイティブなものだと思っていたのですが、それを前向きに考えることができるこの人の発言は、ま さに目から鱗でした。

以上、アカデミック系の話をネタに、アウトプットすることの意義を再確認してみました。この話は、ブログの執筆でも 共通することだろうなと感じてます。時間がない、、とか、いいネタ書かなきゃ、、、と思いとどまりがちですので、個人的には、この自分のブログをこれから も何度か読みなおして、研究やプライベート(ブログ)で活発にアウトプットできるよう、自分にハッパをかけようかと思います。

目標まで、あと74日分

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